マッサージにはたくさんの種類があり、それによる職業も存在する。リラクゼーションサロンやボディケアサロン、ホテル内のスパ施設、エステティックサロンなどもそれに該当する。その仕事を就く人をセラピストという。セラピストになるためのカウンセリング力や接客を学んでいる専門学生にインタビューをし、どのように興味を持って学んでいるのかをインタビューした。
【プロフィール】
大西 凜(おおにし りん)
2005年生まれ。2024年にアイ エスティック専門学校アロマ&セラピスト専攻(2026年よりアイ トータルビューティ専門学校に校名変更)入学。アロマテラピーの基礎から実践まで幅広く学ぶ。骨盤矯正、肩甲骨はがし、リフレクソロジーなどを行うボディケアサロンに就職が決まった。
小さい頃のきっかけが、将来の夢に。
――セラピストを志したきっかけを教えてください。
大西 凜(以下、大西):幼少期から家族や友人によく肩もみや足のマッサージをして、「気持ちよかった」「ありがとう」と言ってもらえることがとても嬉しく、自然と人に喜んでもらうことにやりがいを感じるようになりました。この経験を通して、人に喜びを提供できる仕事に就きたいと考えるようになり、セラピストという職業について調べていったとき、ただ体を癒すだけでなく、心にも寄り添える仕事であることを知りました。お客様のお悩みを聞いて、それに対しての施術でお客様の笑顔や「楽になった」という言葉を直接いただける点に強く惹かれ、自分の手で人の役に立ち、癒しを届けていきたいと思っています。
――実際に何歳のときにこの道に進もうと決断したのですか?
大西:進路について意識し始めたのは中学3年生の頃です。高校に進学してから、より一層リラクゼーション業界に魅力を感じ、進路として本格的に考えるようになりました。
――アイ エステティック専門学校を志望した理由はなんですか?
大西:リラクゼーションの中でも、最も興味を持っているアロマやセラピストについて専門的に学べる専攻があったこと、そしてオープンキャンパスに参加した際に先生方や先輩方がとても礼儀正しく接してくださり、この学校なら技術だけでなく、人としても成長できる環境だと感じたからです。
授業でハンドマッサージの練習。血行促進の効果があり、冷えの改善が期待できる。
専門学校ではアロマだけでなく、解剖学や接客マナーも学ぶ
――具体的にどういう勉強をしているのですか?
大西:私はアロマ&セラピスト専攻に在籍しており、アロマテラピーの基礎から実践まで幅広く学んでいます。精油の種類や効能、ブレンド方法などの基本的な知識に加え、オイルを使ったボディトリートメントなどの技術も勉強しています。また、ボディリラクゼーションやヨガ・ピラティスなど、身体と心のバランスを整える幅広い内容も学習しています。実技の授業では、クラスメイトの手を借りてハンドマッサージをおこない、その効果を知ったり、さらにオイルをプラスさせれば心身のリラックスやストレス緩和にもなるということも体験的に学んでいます。他にも化粧水やパック、香水やハンドクリームバスソルトやマウスウォッシュなどのクラフトをしています。安全で効果的な施術が実施できるように、解剖学や生理学、皮膚の構造、衛生管理といった人体に関する知識も覚えなくてはなりません。さらに、お客様一人ひとりに合った癒しを提供するために、カウンセリング力や接客マナーについても教授いただいています。学内では学生サロンを開いています。実際にお客様をお迎えして施術を行う実習も経験しています。
――学生サロンは在校生限定ですか?
大西:いいえ、保護者の方や一般のお客様もご利用いただけます。前期と後期に数回学生サロンを開いています。現場に近い環境で接客や技術の実践ができるため、これまで学んできた知識や技術を学生サロンで活かしながら、おもてなしや対応力を身につけています。
――他にどのような技術を学んでいますか?
大西: スパトリートメントという世界各国の癒し技術を幅広く学んでいます。主に習得しているのはハワイ伝統の「ロミロミ」というオイルマッサージで、手のひらや腕全体を使い、波のようなリズムで全身を揉みほぐすというもの。リラクゼーション効果が高く、心身のバランスを整えることが目的です。また、温めた天然石を使う「ホットストーンセラピー」も勉強しています。こちらもハワイなどでおこなわれており、石を体に乗せたり、滑らせたりして行う施術です。筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、深いリラックス効果が得られます。中国伝統の「カッサ」は、専用のプレートを使って皮膚をこするもので、血行やリンパの流れを促します。むくみや冷え、肩こり・腰痛の緩和に効果が期待され、デトックスとしても注目されています。これらの技術を通して、お客様一人ひとりの心と体に寄り添った癒しを提供したいと思います。
アロマ&セラピスト専攻の授業の中でアロマテラピーという科目があり、さまざまな精油の知識や効能を学ぶ。
学生の就職先はエステサロンやホテル内のスパ施設などさまざま
――どういった就職先があるのですか?
大西:主に、リラクゼーションサロンやボディケアサロン、ホテル内のスパ施設、エステティックサロンなどに就職する学生が多いです。私自身はボディケアサロンに就職します。そのサロンでは骨盤矯正、肩甲骨はがし、リフレクソロジー、ドライヘッドスパなどをおこなっています。
――リフレクソロジーとはどういったものですか?
大西:リフレクソロジーは、足の裏にある「反射区」という場所を刺激して、身体のバランスを整えていくリラクゼーションです。体の内臓や器官とつながっていると考えられている足裏や手のひらを刺激することで、血行を良よくしたりして、むくみや冷えの改善、リラックス効果を高めることを狙いとしています。
――そもそもの質問ですが、リラクゼーションサロンとは具体的にどのようなサロンなのですか?
大西:リラクゼーションサロンと一言で言ってもさまざまあり、例えば、筋肉のコリをほぐす「ボディケア」を中心としたサロンや、ストレッチを取り入れた「タイ古式マッサージ」のサロン、ハワイ発祥の「ロミロミマッサージ」をおこなうサロン、足を中心にケアする「フットマッサージ」のサロンなど、それぞれの特徴や技術に違いがあります。
いつかは自分のサロンを持って、お客さんに笑顔なって欲しい
――最後に将来の夢をお聞かせください。
大西:私は、お客様一人ひとりの体と心に寄り添い、喜びを提供できるセラピストになりたいと考えています。お客様が笑顔でお帰りいただけるように、技術だけでなく、気持ちの面でも安心して任せてもらえる存在を目指し、心からのサービスを提供していきたいと思っています。将来的には自分のサロンを持ちたいと考えており、来てくださるお客様にとって居心地のよい快適な空間を提供したいです。ていねいな施術と温かいおもてなしを通して、「また来たい」と思っていただけるような、何度でも訪れたくなるサロンをつくることが目標です。
マッサージや将来の目標について、にこやかに話す大西さん。緊張しながらもしっかりとした口調でインタビューに協力をしてくれた。
取材・文・撮影/高橋祐奈